作家との出会いからはじまる新しいカタチ

9月23日(土)・24日(日)、てんしばにて
「うつわとくらす」が開催されました。
「ふれる、たべる、すごす」をキーワードに、備前焼の作家とふれあい、
備前焼や備前のくらしを学び、体験できるイベントには
6名の備前焼作家を筆頭に、岡山の造り酒屋や
コーヒーショップが大阪へ集結。
ワークショップも開催され、備前焼の魅力にはじめてふれるお客さんで
大賑わいの2日間となりました!
今回は23日(土)の各ブースと会場の様子をお届けします。

ふれて、たべて、すごして、
はじめて感じる備前焼の魅力

最初に紹介するのは会場一番手前にブースを展開していた備前焼作家の伊勢﨑創さん。創さんは今回制作したフリーペーパー「うつわとくらすBIZEN」の顔(表紙)であるビリヤーニが盛られたお皿の作者です。ブースには大皿、小皿、湯のみや箸置きまで一式揃えたくなるラインナップ。器を手に取るお客さんに対して、焼成時に小皿や湯のみを重ねて丸い模様つける「ぼたもち」や、稲を巻いて有機的な線をつける「ひだすき」などの模様のつけ方、備前焼の登り窯の特徴について丁寧に伝えている創さんの姿が印象的でした。

笑顔が素敵な備前焼作家の渡邊琢磨さんは、伝統的技法を現代的視点で解体・リミックスした器を作陶されています。中でも目を引いたのがわん型の器の外面に縦線を引き、その窪みに白い粘土を埋めてストライプ模様を表現した器。備前焼の土味はそのままに、渡邊さんの感性が光る代表的な作品です。そしてもう一つ、お客さんを引きつけていたのがガーリックポット。聞けばポットにニンニクを入れておくと、芽が出ずに数ヶ月間フレッシュさを保つそう! そんな個性的なラインナップに惹かれ、ブースにはお客さんがひっきりなしに訪れていました。

家族で店番をしていた森大雅さんのブース。かわいい娘さんがお手伝いをしているのが微笑ましく、お客さんもつい長居をしている様子でした。アワビの貝殻の器や、木目模様のお皿など、備前焼の素材感を活かして見事に自然美を表現される森さん。遊び心を大切にした作品には、身につけて楽しめる備前焼の蝶ネクタイなるものも! 歴史ある備前焼を現代のライフスタイルに融合させる逸品で、お客さんに新しい備前焼との付き合い方を提案されていました。

備前焼は力強い重量感のあるお皿のイメージが強いですが、柴岡 久さんが作る器は薄手で持った時の軽さは驚くほど。そんな柴岡さんのブースに設置されていたのはなんとガチャガチャ! カプセルの中には備前焼の小皿や亀やふくろうなど縁起のいい動物をモチーフにした備前焼の置物が入ったオリジナルです。何が当たるかわからないワクワク感を通して備前焼にふれられる体験は会場のお客さんに大好評。備前焼と出会う新しい入り口になっていました。

料理への興味が次第に食器への関心に移り、作陶を始めた安藤騎虎さん。その背景を感じられる、日々の食卓で使いやすいシンプルでいろんな料理に合う器がブースには並んでいました。中でも注目されていたのが備前焼の特徴を活かしながら現代生活にフィットする作品、コーヒードリッパー「nagom」。備前焼の器でコーヒーを飲むと美味しくなると言われていますが、淹れる段階から味わいに変化をもたらすアイテムです。筒型一体フォルムに機能を凝縮させ、簡単にコーヒーを淹れられる優れものであるだけあり、会場でも予約待ちの状況でした。

今回出店していた中で唯一の女性備前焼作家である山村富貴子さん。ブースには猫をモチーフにしたお皿や一輪挿しなど、女性ならではの感性が光る見た目にもかわいい作品がずらり。白くまや羊などの置物もあり、天王寺動物園と隣接しているてんしばへ訪れた、動物園目当てのお客さんにも好評でした。器の中で目を引いたのが雪の結晶の形を表現した雪輪皿。備前焼の伝統的な形に捉われない山村さんの柔軟な姿勢が伝わってきました。

備前焼は日本六古窯の一つであり、その中で最も歴史が古いと言われています。今回は備前をはじめ日本六古窯の魅力にふれてもらえたらと、瀬戸、越前、常滑、信楽、丹波の作品も展示。古来の陶磁器窯のうち、縄文から現代まで日本古来の技術を伝承し生産が続いている焼物全てにふれ、それぞれの窯の魅力を体感することができました。

備前焼作家に加え、器つながりということで、岡山から食事を楽しむ道具や飲み物も集結。ガラス作家有松啓介さんに出店いただきました。吹きガラスを中心に製作する有松さん。中でもベンガラで着色した黄緑色のガラスは、てんしばの芝生に勝るとも劣らないほどキラキラ輝いていました。

岡山市内でお店を営む「木のスプーン 55gohan」。安田知彦さんが作る主に桜の木を使ったスプーンやカップが並びました。1本1本手彫りのスプーンは、持ち手が柔らかく、同じ持ち味は1本たりともありません。それだけに手にしっくり馴染み1本との出会いは運命を感じます。

まぼろしの酒米・雄町米を復活させ、米作りから酒造りまで一貫したつくりの蔵を目指す「利守酒造」。今回は備前焼の酒器と一般的なカップとで利守酒造の日本酒が呑み比べられる、体験型のブースを展開いただきました。使った酒器は持ち帰りができるとあって、夕方には器が品切れになる盛況ぶり! 備前焼で飲むと変化する日本酒の味わいに、ブース周辺では驚きの声が上がっていました。

3日間じっくり熟成して旨みを引き出す食パンや、自分のところの畑で採れたブルーベリーをたっぷり使ったマフィンなど、人気商品を厳選して持ってきてくれたパン工房「てとて」。23日限定の商品には、岡山の津山市産の小麦100%の食パンもお目見え! パン好きが多い関西人のハートをガッツリ掴んでいました。

トスティーノコーヒー」は備前焼が味わいを変えるという特徴を活かした、器で完成する新しいコーヒーを提案する自家焙煎珈琲のお店。ブースではコーヒーの中に備前焼玉を入れ、お客さんにコーヒーの飲み比べを体験してもらいました。店主・脇山さんの軽快なトークも相まって、興味津々な様子のお客さん。

くらしを通して備前焼の
用途や魅力を伝えるワークショップ

イベントでは「ふれる、たべる、すごす」をキーワードにワークショップも開催しました。23日は備前焼を使った精油づくりや、備前焼の鉢に飾るプリザーブドフラワー、備前の食材を使った料理を備前焼の器に装うワークショップなど内容も盛りだくさんで、定員を超える大盛況となりました。
「たべる」のテーマでは、備前市にある頭島でイタリアンレストランを営む寺田シェフが、備前のすり鉢を使ってドレッシングの作り方を直伝。さらに備前焼のお皿に頭島で獲れた大ぶりのタコを盛り付け、ドレッシングをかけていただきます。撮影をしながら思わず手が伸びてしまいそうになる、美味しそうなタコに参加者もご満悦の様子。備前の食の豊かさと備前焼にふれることができ、焼締の器が生まれた町の歴史やくらしへの関心が高まっていました。

天候にも恵まれ、多くの方にご来場いただいた「うつわとくらす」。今回のイベントで初めて備前焼にふれたという若い世代の方も多く見られました。うつわ好きの女性の方からは、「作家さんとゆっくり話ができて楽しかった」「使い方の提案やお手入れの方法まで教えてもえるので、大切に使いたい気持ちが芽生えた」などの嬉しい言葉もたくさんいただきました! 今回のイベントで備前焼に興味を持っていただいた方は、作家に会いに備前へ訪ねてはいかがでしょう。作っている風景をみると、器との距離が一段と近くなるはずです。 「うつわとくらす」は今後も続いていきます。またどこかの会場でお会いしましょう。

2017年10月14日(土)9:00~17:30/15日(日)9:00~16:30
岡山県備前市伊部地区 備前焼伝統産業会館及びJR赤穂線伊部駅周辺 http://touyuukai.jp/buy.html#cont02
集い学びながら備前の食に舌鼓!
器と食を楽しむ「うつわバー」を開催

23日(土)のイベント終了後、てんしばにて開催された「うつわバー」。
「うつわと食を楽しむ」をテーマに、
イベントに遊びに来てくれたお客さん参加のもと、
備前焼作家や出店者と一緒に食事を楽しみながら、話に花を咲かせました。

垣根を越えて地酒で乾杯!
備前焼の器で備前の魚を味わう

乾杯の後、待ってましたとばかりに料理のあるテーブルへ向かう参加者のみなさん。今回寺田シェフが備前市日生(ひなせ)で獲れたスズキを冷製仕立てにした季節の野菜の煮込みを作ってくれました。渡邊さんが作陶された大皿に盛られた煮込みは瞬く間に空っぽになる美味しさ。お肉かと思うほど肉厚のスズキが、日生の海の豊かさを物語ります。今回は利守酒造のご好意で日本酒を提供してくださり、お料理との相性も抜群で、一升瓶がどんどん開いていく飲みっぷり! てとてのバゲットも添えられ、贅沢な食卓になりました。

渡邊さん、柴岡さん、備前市職員橋本さん、寺田シェフのテーブルでは、杯を交わしながら備前焼のこれからについての熱い話が繰り広げられていました。みなさんそれぞれが本気で備前焼の未来を考え、備前の作家と市の職員とシェフが一緒になって備前を盛り上げていこうとする言葉に、胸が熱くなります。

そして最後にスペシャルゲストが登場! フリーペーパー「うつわとくらす BIZEN」の「BIZENに恋するくらしに出会う旅」でご協力いただいた、FM802のDJ土井コマキさんが「うつわバー」に駆けつけてくれました。取材時にお会いした創さんやトスティーノコーヒーの脇山さんはもちろん、初めて会う備前焼作家さんや出店者さんともすぐに距離を縮められる土井さん。最後は全員で記念撮影をし、最高の盛り上がりのなか「うつわとくらす」1日目の幕を閉じることができました。